こんにちは。行政書士のtakashiです。
「行政書士になるには.com」へお越しいただきありがとうございます。
このサイト「行政書士になるには.com」では、管理人である現役行政書士の私が、行政書士事務所を開業するにあたって経験した「開業前や開業後にやっておいた方が良かったこと」「開業前・開業後にやっておいて良かったこと」「開業後の成功体験や失敗談」など、実体験に基づいたノウハウや知見を徒然に書いていくものです。
- 行政書士事務所開業前でどんな準備をしたいいかわからない方
- 行政書士事務所を開業したはいいけれどどうしたらいいのかわからない方
このような方のお役に立てればと思いサイトを運営しています。気になることや感想など、お気軽にコメントをいただけると嬉しいです。コメント欄はこのページの一番下にあります。最後までお付き合いのほどよろしくお願いします。
今回は、「行政書士になるには?【登録・資格・試験編】」として
- 行政書士になるにはどうしたらいいか?
- 行政書士になれる資格とは?
- 行政書士試験について
- 行政書士登録の手順
について書いていきます。
このあと詳しく見ていきますが、「行政書士になるには」、つまり「行政書士として仕事をする」には「行政書士登録」をする必要があります。そして、行政書士登録をするためには行政書士となれる「資格」が必要とされ、それは行政書士試験に合格することだけではありません。
ここでは「行政書士になるには」をキーワードに、「どうやって行政書士になったらいいのか?」を深掘りしていきます。内容が多岐にわたり、また、ときどき脱線をしたりと読みにくい部分があるかもしれませんが、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
行政書士になるにはどうしたらいいの?
まず、行政書士になるには日本行政書士会連合会の【行政書士名簿】に登録することが必要です。
行政書士試験に合格しただけでは「行政書士です!」と名乗ることはできず、行政書士として登録をして初めて「行政書士です!」と名乗ることができるようになります。
この【行政書士登録】の手続き方法ですが、行政書士事務所を開業(又は勤務)しようとする都道府県の行政書士会を通して日本行政書士会連合会へ必要書類を提出します。
必要書類の提出後、行政書士となる資格があるか、行政書士となることができない者ではないか、などの審査を経て行政書士名簿へと登録されます。
また、登録後は事務所のある都道府県行政書士会に所属することとなります。また、事務所を設置した地域ごとに支部が設けられており、その支部にも所属することとなります。
行政書士登録ができる資格ってなに?
行政書士になるには、行政書士として登録が必要とされています。そして、行政書士として登録するためには資格が必要です。この「行政書士登録ができる資格」にはいくつか種類があり、以下の資格に限られています。
- 行政書士試験合格者
- 弁護士、弁理士、公認会計士、税理士
- 公務員として行政事務を担当した期間が17年又は20年以上
- 行政執行法人、特定地方独立行政法人の役員又は職員として行政事務に相当する事務を担当した期間が20年以上
行政書士になるには、行政書士試験合格者はもちろん、弁護士や弁理士、公認会計士、税理士の士業、一定期間以上の経験のある公務員等も行政書士として登録することができます。
行政書士以外の士業でも行政書士登録ができるため、それらの資格との兼業で登録されている先生もいらっしゃいます。いわゆるダブルダブルライセンスですね。例えば、税理士で行政書士登録している先生は多いですが、弁護士や弁理士はめったにいません。また、公務員経験者での登録も多いですが、そのほとんどは登録するだけで実務を手掛けている方はほぼいません。(※あくまで僕の体感です!公務員出身の行政書士で素晴らしいお仕事を手掛けていらっしゃる方もいると思います!)
他にも社会保険労務士や中小企業診断士など、いくつかの資格を組み合わせて相乗効果、シナジーを生み出していくことも選択肢となります。
弁護士をはじめ、税理士や行政書士など「○○士」と呼ばれる職業を総称して「士業」(しぎょうorさむらいぎょう)と呼ばれています。
行政書士登録ができない人もいる!
「行政書士登録ができる者」について書いてきましたが、そもそも「行政書士登録ができない者」もいますので注意が必要です。
- 未成年者
- 成年被後見人又は被保佐人
- 破産者で復権を得ないもの
- 禁錮以上の刑に処せられた者で、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから3年を経過しない者
- 公務員、行政執行法人、特定地方独立行政法人の職員で懲戒免職の処分を受け、その処分の日から3年を経過しない者
- 行政書士の登録を受けたものの、偽りその他の不正の手段によりその登録を受け、それを原因として行政書士登録の取消し処分を受け、その処分の日から3年を経過しない者
- 懲戒処分により、弁護士会から除名され、公認会計士の登録の抹消の処分を受け、弁理士、税理士、司法書士若しくは土地家屋調査士の業務を禁止され、又は社会保険労務士の失格処分を受けた者で、これらの処分を受けた日から3年を経過しない者
これらに該当する場合、行政書士として登録することができません。
特に、未成年者は行政書士を受験することはできますが、合格をしても20歳にならないと行政書士として登録することはできません。
登録を拒否されることもある!
また、行政書士会は、行政書士登録の申請を受けたとき、行政書士となる資格があるものの、
- 心身の故障により行政書士の業務を行うことができない者
- 行政書士の信用又は品位を害するおそれがある者その他行政書士の職責に照らし行政書士としての適格性を欠く者
上記のどちらかに該当すると認められるときは、資格審査会の議決により登録を拒否しなければならないとされています。
つまり、これらの要件に該当する場合、
- 行政書士登録申請ができない
- 行政書士登録申請ができても登録を拒否されてしまう
こととなります。
行政書士登録に必要な費用
さて、行政書士登録をするには登録申請とは別に費用がかかります。
- 登録料
- 会費
- 職印
- 事務所
行政書士会の登録料ですが、登録をする都道府県行政書士会により少し異なりますが、20万円程度となっています。詳しくは登録する予定の都道府県行政書士会へ問い合わせましょう。
また、行政書士になるには、行政書士会への登録が必要なことはさきほど読んでいただいた通りですが、この行政書士会の運営のために会費が必要となります。この金額も都道府県により異なりますが、1年間で6~7万円程度、また「政治連盟費」も年間1万円程度必要となります。また、支部会費が必要な支部もあります。
支払方法等も都道府県により異なりますが、銀行口座からの引き落としが多く、3か月に1回~半年に1回ほど、まとめて引き落としとなることが多いです。
また、他にも職印は必須ですし、事務所名、所在地、行政書士名などを記載したゴム印もあると便利でしょう。さらに、事務所を自宅とは別に設ける場合には、事務所を賃借するための費用、さらには当面の賃料も確保しておく必要があります。
行政書士会は強制加入の団体ですので、会費は必ず支払わなければなりません。開業したばかりは特にそうですが、支出が増えることは避けたいと思います。僕もそう思っていました。(今もなるべく不要な出費は避けます)ですが、この会費は行政書士会の事務局の運営や、業務研修などのために使われます。せっかく払う会費ですから、業務研修などを通して知識の幅を広げるなどをして取り返しましょう。笑
行政書士試験
さて、ここからは登録者のなかでも割合の多い行政書士試験について書いていきます。
ちなみに、僕の周りにいる現役バリバリの実務家の先生はみんな行政書士試験合格者です。一人前の行政書士になるには、避けて通れない関門になります。
試験時期と回数
行政書士試験の開催時期や回数ですが、毎年1回のみ、例年11月第2日曜日に開催されています。試験結果の発表は翌年1月の下旬に行われます。
行政書士試験は、1年に1回しか行われない試験のため、試験日に照準を絞った綿密な準備や高い集中力が必要です。
受験資格
受験資格には特に制限はありません。だれでも受験することができます。年齢、学歴、実務経験、国籍も関係ありません。受験料は7,000円です。
過去には若い方では14歳、年長の方で81歳の合格者がいるようです。
行政書士試験合格は社会保険労務士の受験資格にもなるため、社会保険労務士試験受験のためのステップとして受験する方もいます。
また、法律系の国家資格では入門編的な位置づけとして捉えられており、司法書士や税理士、予備試験などの資格へ挑戦する前に滑り止めや腕試しに受験するパターンもあります。
行政書士試験の難易度や心構え
行政書士試験はこのように誰でも受験できますが、誰でも受験できるがゆえに法学部生の記念受験など準備や対策が不十分なまま受験する方も多く、試験の難易度に対して合格率が低めとなる傾向があります。
実際、具体的な合格率を見てみると例年10%前後で推移しており、数字からみても簡単な試験ではないことがわかります。「法律系入門資格」とはいっても、あくまで司法書士や司法試験を目指す方たちの基準ですので「法律の勉強が始めて」という方にはあまり参考にならない考え方でしょう。
「法律の勉強が始めて」のいわゆる初学者は、具体的な法律の勉強をはじめる前に「法とはなにか?」や「日本の法律の構成」、「法律用語や法律文書独特の表現」をある程度抑えておくと条文や試験問題の理解が早いでしょう。
また、「言葉の意味」をしっかりと理解しておくことも重要です。似たような言い回しであっても厳密には違う意味合いであることがあり、そこを誤ったまま話を進めていくと全然ちがうゴールに着いてしまうことにもなりかねません。ここでいちばん恐ろしいのは、「お互いがそれぞれちがうゴールに着いてしまった」ことに気づきにくい点です。ここで詳しく書くと、この記事の流れを邪魔してしまうためここまでにしますが、例えば「特徴と特長」、「学習と勉強」など似たような表現だけれどもそれぞれの持つ意味がちがう言葉には注意をした方がいいと私は考えています。
この考え方は、行政書士試験に合格した後、独立開業をして実務に就いたときにも大きな助けとなります。
試験の内容
「法律はじめまして」な方にはちょっとハードル高め、でもチャレンジするにはもってこい!な行政書士試験の内容を細かく確認していきましょう。
試験時間は3時間。問題数は、法令等科目が46問、一般知識等科目が14問の合計60問で構成されており、法令等科目46問のうち、2問が記述式となっています。
合格は法令等科目50%以上、一般知識等科目40%以上で、合計60%以上の得点が必要とされています。各科目の最低ラインは超えつつ、合計で60%を超えていく、というプランを基本として計画的に勉強をしていきましょう。
余談ですが、過去に補正的措置として合格基準が引き下げられたことがあります。2014年度の1度だけで、僕が行政書士試験に合格した年でした。例年に比べて難易度が高かったことが原因のようですが、個人的にはそうは感じませんでした。それは、基本的な問題をコツコツと繰り返すことで、問題文がトリッキーな程度では動じない基礎力を磨いていたからです。
つまり、【どんな問題が出ても難しくは感じない程度】まで精度を高めれば行政書士試験合格はそう高いハードルではない、ということです。
問題数が60問なので単純計算で1問あたり3分弱ですが、見直しと記述問題に時間を割きたいので、択一問題は1問1分~1分半程度で解いていきたいところです。
行政書士試験では法令等科目として憲法、民法、行政法、会社法が、また一般知識等科目として政治経済、一般常識や文章理解といった幅広い範囲から出題されます。以前は一般知識等科目に「行政書士法」がありましたが、現在では出題されていません。(行政書士になるための試験なのに、行政書士法がでないのは個人的にはどうかなと思います。)
独学で合格するケースも多いですが、そのほとんどが法学部出身者であり、法律についての基本的な理解があるような方向けのスタイルです。
初学者でも独学で受験・合格する方もいますが、民間の資格予備校や通信制の講座を通して勉強するようなスタイルをとった方が近道となるでしょう。とはいっても、このあたりは受講料などもかかるので、ご自身のサイフや試験勉強に割ける時間などと相談してプランを立てていきましょう。
「行政書士になる資格」を得たら、登録しよう!
行政書士試験に合格、または他の「行政書士になる資格」を手にしたらいよいよ「行政書士登録」の手続きへと進みます。
行政書士登録の手順
行政書士登録をするには
- 事務所や職印、事務用品などを用意する
- 申請書様式や添付しなければならない必要書類を用意する
- 揃えた書類を事務所のある都道府県行政書士会へ提出
- 提出先の都道府県行政書士会、日本行政書士会連合会にて審査
- 審査の結果、問題がなければ登録
という流れになります。
審査の期間はおおよそ1~2か月です。登録証に記載される登録日は手続きの関係上、1日か15日のどちらかになります。
行政書士登録は許認可申請のチュートリアル!?
見出しのとおりなのですが、僕は常々「行政書士登録は許認可申請のチュートリアルだ」と考えています。
というのも、許認可申請の申請の基本的な流れが
- 依頼者が希望している許認可の要件を満たしているかどうかの確認
- どの申請書が必要か、添付書類はどんなものが必要かを確認
- 書類作成、添付書類の収集
- 提出先行政庁との調整
- 申請書提出
- 審査
- 許可
と、いっこ前に挙げた行政書士登録の手続きの進め方とよく似ているからなんです。
なので、行政書士登録の手続きを「行政書士の初仕事」という気持ちを持って臨んでみてください。手続きを進める際に、
- 要件の確認、調査
- 書類作成、収集
- 審査
- 登録
までどれくらいの期間でできるかを想定して「このぐらいの期間で登録できますね!」と、実際に依頼があったことを想像してみるとよりいいかと思います。
ここまでスムーズにできるようになれば、実務も比較的スムーズ取り組めるようになると思います。
行政書士登録ができたら、開業届と青色申告承認申請書を出そう!
行政書士登録が完了したら、事務所の管轄税務署で「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出しましょう。
開業届とは
これは、税務署に対して「私は個人事業主となりました。これからは毎年確定申告をします。」という届出です。
開業届は、事業を始めてから1か月以内に提出しましょう。期限内に提出しないから、といって罰則がある訳ではないですが、確定申告をするときにはどちらにせよ提出を求められますので、先に提出しておくといいと思います。
ついでに、「e-Tax」のID・パスワードをもらっておくと、確定申告が電子でできるようになるので便利です。
確定申告の時期は税務署がやたらと混み合います。なるべく郵送か電子申告にすると待ち時間などがなく、貴重な時間を節約することにつながります。
青色申告承認申請書とは
確定申告を「青色申告」で行うために必要な書類です。
この書類も提出には期限があり、事業を始めてから2か月以内、又は青色申告を行う年の3月15日までとされています。青色申告をしたい場合は、開業届と一緒に提出すれば税務署に何度も行かなくて済みます。
確定申告の書類は、白色申告より面倒ですが、行政書士として業務をするには会計知識はとても大切です。勉強も兼ねて青色申告をするといいかな、と思います。
まとめ
これまでの内容をまとめると
- 行政書士になるには行政書士会へ登録が必要!
- 行政書士登録できる資格はいくつかある!
- ただし!行政書士として登録できない人もいる!
- 行政書士試験は誰でも受験できる!
- 行政書士試験は年に1回、11月!
- 行政書士試験勉強のコツ!
- 行政書士登録の手続きは許認可申請のチュートリアル!
- 行政書士登録が終わったら税務署へ開業届と青色申告承認申請書を出そう!
でお送りしてきました。
行政書士になるためには課題がたくさんあるかもしれませんが、ひとつひとつとまっすぐに向き合い、クリアしていくことが自身の成長や実務力を養うことにつながります。ぜひ「一人前の行政書士」を目指して突き進んでください!
今回の記事はここまでです。最後までお読みいただきありがとうございました。