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今回は行政書士の提供する価値についてです。
最近巷では「価値が云々」「提供価値!」「士業の価値提案」など「その仕事を買うことで得られる価値」をハッキリさせて差別化しよう!みたいな風潮が強くなっているように感じています。
しかし、この「価値」ばかりに重きを置きすぎると、どうしても考えこんでしまいますよね。そうやって「私の提供できる価値って…」みたいな思考に陥ってしまうといつまでたっても独立することができなくなってしまうのではないでしょうか。
実は私も同じような思考に陥ってしまったことがあります。その時に考えたことが、今回のタイトルである「提供したい価値と受け取る側の感じる価値」です。サービスを提供する側が打ち出したい価値と顧客がそのサービスを購入する際に考慮する価値にはギャップがあることも多いのではないかと考えています。特に行政書士の行う許認可業務に関してはそういった傾向が強いことを感じています。
そもそもどうしてこんなに「価値」に重きを置くようになったのか?
本題に入る前に、そもそも論として「どうしてこんなに価値に重きを置くような意見が多くなったのか?」について考察したいと思います。
行政書士のメジャーな業務は現状コモディティ化していることが挙げられます。一般的な知識は体系化された書籍や自治体の発行する申請の手引き等で手に入れることができます。
そういった状況において「競合する他の事務所に対してどうやって集客をするか」が問題となります。ウラを返せば「どうしたら見込み客から自社を選んでもらえるか」を考える必要がでてきます。
安売りも一つの手です。画一的に処理できるような業務であれば、マニュアル化してバシバシ回していくこともできるため、報酬を安く設定して大量に処理するという方法もアリです。
しかし、一件一件しっかりとしたヒアリングが必要となるような業務で安売りをすると、下手をすると最低賃金すら下回ってしまうこともあります。どんな業務でも安売りをすればいいというものではありません。
それでは安売りをせずに集客をするにはどうしたらいいか、というのが「他にはない価値」「業務に付加したサービスの価値」を提供することで差別化を図ろう、という考え方が生まれてきます。
ここまでが付加価値論・価値提供論が語られるようになった背景であると考えています。
価値を感じるポイントは人それぞれ
もちろん「どんな価値を提供できるか」は事務所を強みを際立たせるため、あるに越したことはありません。顧客に圧倒的な価値を感じてもらえるなら、競合との競争に巻き込まれることも少なくなり、報酬額も競合より高いものとすることができます。
ですが、この価値をどこまで有益に感じるかは受け取る人によって違います。そこに提供する側と受け取る側にギャップが生じると思っています。
つまり「そこまでしてくれなくても良い」というニーズは確実にあり「そこそこの価値をそこそこの価格で提供することで十分」という一種ファストフード的なサービスも存在し得る、ということです。
ラーメンに例えると、野菜もアブラもニンニクもマシマシだと胃もたれしてしまうお客さんもいる。小ラーメンニンニクチョイで十分、というお客さんもいるのに、いつもマシマシを出しますか?という話。
行政書士業におけるファストフード的サービス提供とは?
アレもコレもと「当事務所はこんなことまでできます!」「ここが当事務所と同業他社との圧倒的なちがい!」といったレストランのフルコース的なサービスは確かに高単価です。しかし、それを提供できるのはごく一部です。
これに対して「ココまでパパっとやってくれれば良い」というファストフード的サービスも非常にニーズがあります。
このファストフード的サービスは、開業したての行政書士でも提供できます。
具体的には
- とにかく早く・速く
- 依頼者の労力を最小限にする
ことです。
開業したてで手持ちの依頼もあまりない場合、とにかく使える時間を注ぎ込んで早く業務をこなすことです。これだけでも結構価値のあることです。さらに、業務についての法令知識の少ない依頼者に代わって行政庁との事前相談や書類作成をすること、仕事で忙しい依頼者に代わって必要書類を収集することを通して依頼者が負担しなければならない労力を極力減らしてあげることも価値あるサービスとなります。
もちろん業務は確実に完了することは言うまでもありません。
このファストフード的サービスだけでも提供する価値としては十分なものです。まずはこれが必要な見込み客へアプローチするという方法もいいのではないかと私は考えています。
さいごに
今回は「提供したい価値と受け取る側の感じる価値」というテーマで記事を書いてきました。
最近の行政書士業界で語られる「価値推し」の空気にたじろいでしまうかもしれませんが、実際には提供するサービスにはレストランのフルコースもあるし、ファストフードのようなサービスもある。まずは「最低限これだけで十分」を目指して仕事をするというのでもいいのではないかと思います。
そもそもこの「最低限これだけで十分」を満たすだけでも相当大変なことではありますが、独立したプロの事業者としてやっていくのだからそれくらいは乗り越えていかねばなりません。
「同業他社とのちがい」や「価値」という言葉に悩んでしまったとき、こういったやり方もあることを思い出してもらえたら嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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