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今回は「行政書士試験や実務力のキホン」についての記事です。
以前の記事「行政書士試験の勉強法」で、
つまり、「法学」が行政書士試験の勉強の中心となります。そのため、まず、法律を学ぶための基礎があるかないか、によってスタートラインが異なります。
なぜかというと、例えば、数学を学ぶためには算数から始めなければならないように、法律を学ぶためには法律を学ぶための基礎知識が必要になるからです。
と、法律を学ぶためには、その前提となる基礎知識が必要となる、という趣旨の記述をしました。
このような知識は「基礎法学」などと呼ばれます。
今回の記事では、この「法律文書を読むための知識・ルール」つまり「基礎法学」を身につけることが、どうして行政書士試験や実務力をつけることにつながるのか?について詳しく書いていきます。
※この記事では、法律用語の解説はあえてしません。これは、私が単に楽をしたい、ということだけではなく、法律用語集と化してしまうことによって、この記事の大事なテーマである「基礎法学を最初に身に着けることの大切さ」から逸脱してしまうことを防ぐ趣旨があります。ご了承ください。※
法律文書を読むための知識・ルールを身につける必要性とは?
行政書士試験、さらに法律を勉強するときに、法律を初めて学ぶ人、いわゆる「初学者」が陥りがちなワナが「いきなり試験勉強用のテキストを読み始める」です。
「どうして?試験勉強用のテキストなのに?」と思われる方が大半でしょう。試験勉強用のテキストは、大抵の場合、本文の欄外に「このテキストで初めて出てきた法律用語の説明」が書いてあります。また、「基礎法学」の項も用意されています。これを読めば足りるだろう、とお考えかもしれません。
しかし、行政書士試験勉強用のテキストには、行政書士試験で出題される「基礎法学」という科目に対応した内容しか記述されていません。行政書士試験合格のみを視野に入れている場合には、これはとても有効ではあります。最短距離で合格できるかもしれません。ただし、後に詳しく書きますが、行政書士として独立・開業することを考えると、あらかじめ基礎法学を体系的に理解しておくことによって実務力を高めることができ、その結果、成功への近道となると考えているため、当サイトでは「基礎法学」を最初に学ぶことを推奨しています。
また、基礎法学を理解せずに試験勉強を始めたとしても、とある項目の勉強をしているのに、さらに法律用語や条文を読み解くための知識である「基礎法学」の勉強も一緒にしているのでは非常に効率が悪いです。なぜなら、一つのことを覚えるために他のことまで覚えなければならないような状況では、脳がどこから覚えればいいのか混乱してしまいます。なるべく脳のタスクを減らすためにも、基礎法学は最初に身に着けるべき知識であると考えます。
なにも学者先生レベルのものは必要ではありません。大事なのは理論ではなく、条文を正しく正確に読み解くスキルを身に着けることです。それができれば全然オッケーです。
例えば、会社法を勉強するケース。多くの試験勉強用テキストや会社法の概説書で最初に出てくる項目は「会社とはなにか?」これについての解説として「会社は法人とされる」という記述でしょう。
ここでは大抵、この「法人」とは法によって「自然人」と同様に「権利能力」を与えられた者である、などと説明されます。
それでは、自然人とは、また権利能力とは、何でしょうか?これらの定義をあいまいにしたままでは「法人」の意味だけでなく、会社法全体の理解すらままならなくなってしまいます。
また、会社法は、私法の一般法である民法に対する特別法である、と説明されます。この「一般法」と「特別法」の関係からこれらの法律を捉えることで、「私法」を俯瞰的・体系的に理解する助けともなります。
このように、基礎法学では、各条文や判例の理解の以前に、大前提となる語句・用語の意味をまずは学ぶこととなります。
また、基礎法学は、行政書士として独立・開業するときにもとても役に立つ知識でもあります。
行政書士の実務においては、来客対応を除けば、事務所における業務の大半を書類作成が占めることになります。具体的には、契約書や定款、その他の文書を作成する際の「アウトプット」として機能します。基礎法学の知識やスキルを用いることで、より質が高くスマートな文書作成をすることができるようになります。もちろん、これらの内容を誤謬なく依頼者へ伝えるのにも必要な知識やスキルです。
つまり、今度は試験勉強のために身に着けた知識やスキルを実際に依頼者のために使うことができるのです。
さらに、条文を理解するための知識やスキルは、許認可業務での各業法やそれに基づく政令や省令、細則、ガイドラインなどを理解するのにも役立ちます。
個別の条文をよりよく理解するためのスキル
基礎法学を理解することで、法律や個別の条文などの「法律文書」を理解するためのキホンとなる能力を身につけることができます。ここでは、さらにもう一歩踏み込んで法律文書をよりよく理解するための方法論、アプローチを書いていきます。
行政書士試験の勉強に必要となる、憲法を頂点とした法律。適正な手続きで実務を行うための各業法。これらの法律にはそれぞれ「法の目的」や「その法における用語の定義」が規定されています。
これらの規定は、基本的に各法律の最初の方、第1条から記載されています。
まず、「法の目的」には、その法律がどのような目的で制定されているか、それによって社会に何をもたらしたいのかが書かれています。
また、「その法における用語の定義」において、その法律特有の用語などを知ることができます。
これらを念頭にあとに続く各条文にあたることで、それぞれの条文をより深く理解することができるようになり、また、より早く理解することにもつながります。
さいごに
今回は、「基礎法学の重要性」と「個別の法律を読み解くためのスキル」について書いてきました。
これらの知識やスキルは、行政書士試験では軽視されがちではありますが、本文にあるとおり、試験勉強でも実務でも使える非常に有用なものだと私は考えています。
これらを武器にして、行政書士試験や実務を切り抜けていきましょう。
今回の記事はここまでです。最後までお読みいただきありがとうございました。
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